はじめに
少子化は日本にとって最大級の社会課題です。
「子どもを産み育てる家庭の経済的負担をどう減らすか」は、どの国でも重要テーマですが、アプローチは国によって大きく異なります。
フランスやアメリカ、ドイツ、シンガポールなどでは、減税(税制優遇)による子育て支援が一般的です。
一方、日本では主に児童手当などの現金給付が中心。
なぜ日本は「減税」という方法を取らないのでしょうか?
海外の事例:減税は子育て支援の柱
フランス:家族単位課税で出生率回復
フランスは「クォータシステム(家族単位課税)」を導入し、子どもの人数に応じて課税所得を割って計算する仕組みです。子どもが多い家庭ほど所得税が軽くなり、実際に出生率の改善に成功しました。
ドイツ:控除と児童手当の二重支援
ドイツでは「児童手当(Kindergeld)」と「子ども控除(Kinderfreibetrag)」があり、有利な方を選べます。中〜高所得層でも支援を実感できる制度です。
アメリカ:Child Tax Credit
子ども1人あたり一定額を税額から直接控除。低所得層には還付も行われるため、幅広い世帯を支援できます。
シンガポール:人数に応じた大規模な税控除
「Parenthood Tax Rebate」として、子どもの人数に応じた税額控除が受けられます。現金給付や住宅支援とセットで実施され、出生率対策の中核になっています。
日本はなぜ減税を避けるのか?
① 低所得世帯にも支援を届けたい
減税は「そもそも税金を払っていない家庭」には効果がありません。
日本は「すべての家庭に子ども手当を配る」ことで、所得に関係なく支援が届く仕組みにしています。
② 公平感を重視
減税は高所得層ほど得をしやすい仕組みです。
一方、児童手当は「子ども1人につき一律◯万円」と分かりやすく、国民の納得を得やすいと考えられてきました。
③ 制度がシンプルで見えやすい
税制優遇は控除・税率など仕組みが複雑になりがちです。
一方、児童手当は「毎月口座に振り込まれる」ため、政治的にもアピールしやすいという側面があります。
④ 財務省のスタンス
日本の財務省は「減税は恒久的に歳入を減らすリスクがある」として慎重です。
給付なら予算に応じて調整可能ですが、税制優遇は一度導入すると廃止が難しいため、政治的ハードルが高いのです。
まとめ:日本に必要なのは「減税+給付」の両立
海外では「減税+給付」の両輪で少子化対策を行うのが当たり前になっています。
日本も「児童手当だけ」では限界が見えており、特に中〜高所得層への支援が弱いのが課題です。
👉 少子化対策として本気で取り組むなら、
- 低所得層には現金給付
 - 中〜高所得層には税制優遇
この両方を組み合わせることが不可欠でしょう。 
  
  
  
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