はじめに
日本人の「お金の持ち方」をわかりやすく示す図として有名なのが、野村総合研究所(NRI)の金融資産ピラミッドです。
富裕層からマス層まで、保有している金融資産額に応じて区分されたピラミッドは、メディアや金融業界でよく引用されます。
しかし、この金融ピラミッドには便利さと限界があるのも事実です。
この記事では、NRIの金融資産ピラミッドの概要、利点、欠点をわかりやすく解説します。
金融資産ピラミッドとは?
野村総合研究所が定期的に発表している「富裕層調査」では、日本の世帯を金融資産額によって次のように分類しています。
- 超富裕層:金融資産5億円以上
 - 富裕層:1億円~5億円未満
 - 準富裕層(アッパーミドル):5,000万~1億円未満
 - アッパーマス層:3,000万~5,000万円未満
 - マス層:3,000万円未満
 
この区分をピラミッド型に積み上げたものが「金融資産ピラミッド」です。
上に行くほど人数は少なくなる一方、保有資産は大きくなる構造がひと目でわかります。
金融資産ピラミッドの利点
1. 視覚的にわかりやすい
ピラミッド型にすることで、「一部の富裕層が大きな資産を持ち、多数の人はマス層にいる」という構造を直感的に理解できます。
2. マーケティングに活用しやすい
金融機関は「どの層をターゲットにするか」を考える材料として使えます。たとえば富裕層向け資産運用サービスや、マス層向けNISA・iDeCoの提案など。
3. 資産格差の把握に役立つ
世帯数や資産総額を示すことで、日本における富の偏在が明確になります。格差拡大の議論にも使われます。
4. 時系列での比較が可能
数年ごとの調査を並べれば、富裕層が増えているのか減っているのか、資産構造の変化を追えます。
金融資産ピラミッドの欠点
1. 金融資産額だけで区分している
収入や負債は考慮されないため、実際の生活水準とは一致しません。ローンを抱える高資産世帯や、収入は高いが資産形成が進んでいない若年層は実態とズレます。
2. ライフステージの差を反映しにくい
20代・30代は資産額が少なくても、今後増やすポテンシャルがありますが、単純に「マス層」として扱われます。
3. 不動産など実物資産を含まない
自宅や土地を持っていても、あくまで「金融資産」だけの評価なので、資産全体の実像とは違って見えることがあります。
4. 格差意識を煽るリスク
「マス層=普通」「富裕層=特別」というラベルを強調することで、必要以上に格差を感じさせてしまうことがあります。
5. 個人戦略への具体性がない
「あなたはこの層です」で終わってしまい、具体的にどう資産形成をすればいいのかまでは教えてくれません。
まとめ
野村総合研究所の金融資産ピラミッドは、日本の資産構造を俯瞰する便利なツールです。
ただし、実生活の豊かさやライフプランを完全に表すものではなく、あくまで参考指標と捉えることが大切です。
ピラミッドを見て「自分はどの層にいるか?」を確認するだけでなく、
- 将来どう資産形成していくか
 - どの金融商品を使うか
 - 負債や実物資産も含めてどうバランスを取るか
 
といった具体的な行動に落とし込むことが重要でしょう。
👉 このブログを読んでいるあなたも、一度「自分の金融ピラミッドの位置」を確認してみてはいかがでしょうか?
  
  
  
  

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