はじめに
日本では2024年から新しいNISAがスタートし、非課税制度が恒久化されました。
このNISAは、実はイギリスのISA(Individual Savings Account)をモデルにしています。
ISAは1999年から25年以上の実績を持つ制度で、長期にわたる経験の中から学べる点がたくさんあります。
本記事では、ISAの特徴や歴史を振り返りながら、日本のNISAに応用できるポイントを解説します。
① 制度の恒久化と安定性
ISAは導入当初から「恒久制度」として位置づけられており、投資家は安心して長期運用ができます。
日本のNISAも2024年から恒久化されましたが、それまでは「5年」「20年」といった期限つきでした。
教訓:投資制度は安定してこそ利用が広がる。
将来の制度変更はあっても「長期で安心して積立できる仕組み」を保つことが大切です。
② 投資枠の柔軟性
ISAは毎年2万ポンド(約380万円)までの非課税枠を自由に活用できます。株式でも預金でも、さまざまな金融商品を選択可能です。
一方でNISAは「成長投資枠」「つみたて投資枠」と分かれており、未使用分を翌年に繰り越すこともできません。
教訓:柔軟性があるほど利用しやすい。
日本でも将来的に「未使用枠の繰越」や「枠の自由化」を検討できるでしょう。
③ 政府によるインセンティブ
ISAの中には「Lifetime ISA(LISA)」があり、拠出額に対して政府が25%を上乗せしてくれます(住宅購入や老後資金向け)。
NISAにはこうした直接的な補助はありません。
教訓:目的別のインセンティブは利用促進につながる。
教育資金や老後資金といったテーマ別に特典を設けることで、幅広い世代の参加を促せます。
④ 引き出しの自由度
ISAには「Flexible ISA」という仕組みがあり、一度引き出したお金を再度枠内で利用することが可能です。
NISAでは売却はできても、枠を再利用することはできません。
教訓:柔軟な引き出し制度は利便性を高める。
日本のNISAでも、再投資や再利用の仕組みが検討されると利用価値がさらに高まります。
⑤ 投資商品の多様性
ISAは株式や投資信託だけでなく、預金、P2Pレンディング、政府支援付きLISAなど幅広い選択肢があります。
NISAは現状、株式と一部の投資信託に限定されています。
教訓:投資対象の多様化が長期利用を支える。
社会的インパクト投資やESG債券など、新しい商品を取り込む余地があります。
まとめ
イギリスのISAは25年以上の歴史を持ち、安定性・柔軟性・インセンティブ・自由度・多様性といった面で成熟した仕組みになっています。
日本のNISAはまだ発展途上ですが、ISAの経験を応用することで、より多くの人が安心して資産形成に取り組める制度へと進化できるでしょう。
👉 長期的な資産形成を考えるうえで、ISAとNISAの違いを知っておくことは非常に有益です。
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